激レア体験!Ⅲ 「トンビに油揚げをさらわれる」
日課となった川沿い散歩。
川沿いの草木は勢いを増し、遠くに見える山々の緑が眩しい。
きらきらと光る川面をカワウやカルガモが泳ぐ。
絶え間のない水音とあちこちから鳥の鳴き声。
わたってくる風が心地良い。
活き活きとした風景の一部にいることの幸せ。
てくてくと歩く。
「ぶ~ん」と羽音を振るわせながら、顔すれすれに虫が横切っていく。
「ガアガア」と鳴きながら、すぐ近くを二羽のカルガモがすごい早さで飛んでいく。
今日はなんだか動物が近い。
てくてくと歩く。
河川敷に降りる階段に男の子が一人腰掛け、何か食べている。
その上を大きな羽根を広げたトンビが音もなく飛んでいる。
やけに近いなと思ったその瞬間、突如トンビが急下降!
男の子の右手に持っていた何かを奪い、すぐに急上昇!
男の子がびっくりしてトンビを見上げる。怪我はなかったようだ。
危ない!と言う暇もなかった。
初めて見た!「トンビに油揚げをさらわれる」
ことわざ通り!!(実際は油揚げではなかったけど)
のどかな風景が一変した。
今、地球上における人類の心情はまさに
「トンビに油揚げをさらわれる」だろう。
それでも、てくてくと歩く。
*ことわざ「トンビに油揚げをさらわれる」の意味
「不意に横合いから、自分の物になると思っていた物や大事な物が奪われること」