早朝川沿い散歩Ⅱ ~三つの虹~
翌朝。
午前5時起床。
昨日より30分早い。
スマホ片手に外に出る。
まだお日様は山の向こう側。
家の中から、「どのくらい歩く?」と母。
「30分くらい」と私。
「私も行く」と母。
人生で初めての、母との早朝散歩。
こんな日が訪れるとは、露とも思っていなかった!
日の出前の空。
なんとも美しい。
「これは萩」
母が植物の名前を教えてくれる。
「ふ~ん、もう秋だねぇ」
川沿いの道に出る。
「!」
「お母さん、見て!虹!」
「あれ、ほんと」
雨は降っていない。
朝の光が雲に反射しているのか?
遠くで雨が降っているのか?
「!!」
「見て、見て、見て!」
「虹が三つ出てる!!!」
一番濃い虹のすぐ下に、もう一つ、うっすらと。
そして、その少し離れた上にも、うっすらと見える。
なんてこと!
こんな現象、人生で初めて!
今日はなんの日?
合図をした訳ではないけれど、
二人一緒に歩き出す。
母はちょこちょこ。
私はゆっくり。
時々、虹を振り返り、振り返り。
時々、ぽつりぽつりと話しながら。
こんな日が訪れるとは思っていなかった。
人生とは、何が起こるか分からない。