2021年元旦は爆笑のうちに始まった
2021年1月1日。
元旦の朝はどんよりと曇り雪が降っていた。
「さぶっ!」
開口一番。
昨日とはな~んにも変わらない今日。
それがどれだけ有り難いことなのだとしみじみ思う。
何時もの時間に起きて、何時ものように洗濯を始める。
台所では母がお雑煮の汁?を作り始める。
「お雑煮食べたら初詣に行こうか」
耳を疑った。
母は今まで初詣をしない人だった。
「帰りにコンビニ寄って年賀状買ってく。千円で足りるかな。」
手ぶらの母を見て、お金はそのままジャケットのポケットに入れたと察しがつく。
「雪降ってないけど、傘もっていこ」と私。
「傘?私はいい。めんどくさい」と母。
神社まで徒歩10分。
歩き出して2、3分もしないうちに雪が降り出した。
母と相合い傘。
こうして母と同じ傘に入るのって、人生初かも。
風が強まり、あまり傘の意味がなさなくなってきた。
二人とも雪まみれ。
何とか神社に辿り着き、神様、お稲荷様、氏神様にお参りを済ませた直後。
「千円がない!」と母。
「あらま。お賽銭出したときに落としたかな?」と私。
賽銭箱の前に戻ってみる。
千円札は落ちていない。
「来た道を戻ってみよ」
雪の塊が大きくなり風も強まってきて、吹雪の様相を呈してきた。
二人とも無口になり、下を向いて黙々と歩く。
「落ちてないね。案外家の中に落ちてたりして・・・」と私。
「でも、ポケットの奥の方に入れたでねぇ」と母。
「じゃあ、歩いている内に摩擦で奥の方から出てきて落ちちゃったかもね。」
「・・・」
「お賽銭と思ってあきらめやぁ」
「・・・」
「風で飛んでっちゃったかもよ」
「・・・」
母は諦めきれないようだ。
家に到着し、母が先に家に入る。
雪をはらっていると、母の声が聞こえてくる。
「部屋の入口にあった」
「良かったじゃん~」
内心は「やっぱり家にあったか」
どうやら、千円札をポケットの奥に押し込んでから
その後に5円玉を入れようと手をポケットから抜いたとき
お札が袖にくっついて出てきてしまい、
母はそれに気づかなかったようだ。
2021年元旦は爆笑のうちに始まった。